こんにちは、行政書士の大湾です
この記事では
公正証書遺言って実際どうなの?という人のために
- 公正証書遺言のメリット
- 公正証書遺言のデメリット
を出来る限りわかりやすくまとめようと思います
自筆証書遺言とどっちが良いか悩んでる人はこちらの記事を参考にしてください
公正証書遺言のメリット
公正証書遺言のメリットは
- 公正証書遺言は元裁判官や元検察官などの法曹資格者が作成!!
- 自分に法律の知識がなくてもいい
- 改ざんや紛失のおそれがない
- 家庭裁判所の検認が不要
- 保管料はかからない
圧倒的な「信頼性」と「安全性」の二つがポイントですね
法曹資格者が作るから信頼できる!!
個人的には、公正証書遺言おすすめする最も大きなポイントはここです
遺言って
形式に則った方法で作成したり、法律的に間違っていないかを調べるのが滅茶苦茶大変です
でも、公正証書遺言を作成するのは「公証人」といって、法曹資格者である元裁判官や元検察官などが作成します
だから、形式的な問題で遺言が無効になることはほとんどありません
もし問題が発生するとしたら、証人に欠格事由があったとか、遺言者が実は認知症だったとか、遺言作成時に詐欺や脅迫にあっていたとか脅されて遺言を書かされたとかでしょうか
だから、遺言を書きたいと思ったら、自分で勉強なんかしないでも、難しいことは公証人に相談しちゃえばOKなんですよね
改ざんや紛失の心配がない
もし遺言書を家に保管していたら、自分の望むような遺言がされてないと気づいた相続人が、あなたの遺言を破棄するかもしれません
これは一番避けたい事態です!!
公正証書遺言の原本は公証役場が保管してくれます。保管料は1円もかかりません
銀行や弁護士などに預けるという方法もありますが、無料で保管してくれるわけではありません
弁護士の場合、遺言執行者を弁護士に指定することを条件に保管し、数十万と費用がかかることもあります
自筆証書遺言を書いても保管料が数十万円もかかるなら、10万円払って公正証書遺言を書いたほうがお得です
保管料が無料な上、紛失や改ざんの心配がないというのは、公正証書遺言の非常に大きなメリットです
家庭裁判所の検認が不要
遺言書の保管者または遺言を発見した人は、遺言者の死亡を知ったあと、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません
申立を行う家庭裁判所は、遺言者の最後の住所地の裁判所です
申立に必要な費用は800円分の収入印紙のほか、連絡用の郵便切手を納める必要があります(郵便切手の金額・枚数は、管轄の家庭裁判所によって異なります)
と思うかもしれませんが、検認の申立をする際に必要な書類が結構たいへんなんです
共通で必要
- 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合
- 遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母と祖父))で死亡している方がいらっしゃる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
相続人が不存在の場合,遺言者の配偶者のみの場合,又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合
- 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 遺言者の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
自筆証書遺言でも検認が不要「法務局の遺言書保管制度」
正直、検認が不要な場合は、公正証書遺言だけではありません
自筆証書遺言でも、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用すれば、家庭裁判所の検認が不要となります
ただ、「検認」は、相続人に対し遺言の存在と遺言の内容を知らせ、現在における遺言の内容を明確にし、偽造・変造を防止するための手続きです
遺言の有効・無効を判断する手続きではありません
検認で確認すること
遺言書の形状
加除訂正の状態
日付
署名など
自筆証書遺言を法務局に預けるとき、形式的な確認をするだけで、遺言の内容が法律的に間違ってないかどうかなどは、アドバイスしないとはっきり言ってます
内容に関する質問も、法務局の職員は受け付けないそうです
法律的な知識が乏しい人は、やはり公正証書遺言を作成するか、自筆証書遺言の場合は弁護士や行政書士などの専門家に、内容をチェックしてもらったほうが良いと思います
公正証書遺言のデメリット
続いてデメリットです
- 費用がかかる
- 戸籍謄本などの必要書類は自分で取得しないといけない
- 遺言の内容の自由度が劣る
- 公証役場とのやりとりが面倒
公正証書遺言は費用がかかる
まあ、当たり前のは話なのですが、公正証書遺言を作成するには費用がだいぶかかります
具体的に公証役場へ支払う費用
- 目的財産の価額に応じた基本手数料
- 基本の手数料に加え財産が1億円までならさらに11,000円加算
- 証書の枚数が4枚以上になれば、1枚増えるごとに250円加算
- 証人が2人必要で、証人の立会料が発生する場合がある
- 正本や謄本の交付手数料は、証書の枚数✕250円
- 公証人に出張をお願いた場合、日当や交通費も発生
- 認知症の有無について診断書が必要な場合がある
- 調印日程をキャンセルすると、キャンセル料が発生
こんな感じですね
「公証人手数料令」という政令で決められたことなので文句は言えないのですが、やはりこれだけかかるので、気軽に作成できないというもわかりますよね
証書作成の基本手数料の一覧はこちらからご確認ください
財産の価額 | 手数料 |
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
戸籍謄本などの必要書類は自分で取得しないといけない
公証役場に証書の作成を依頼したとしても、公証役場がすべてお膳立てしてくれるわけではなく、必要書類は自分で集めなければなりません
特に面倒なのは、市町村役場まで行かなければならない戸籍謄本や資産評価証明書などの取得です。
具体的には
- 遺言者の印鑑証明書
- 改製原戸籍謄本
- 戸籍謄本
- 固定資産評価証明書
- 不動産登記簿謄本
財産をもらう人についても書類が必要です
- 戸籍謄本
- 甥や姪に遺贈する場合は、その繋がりがわかるまでの戸籍謄本と甥や姪の本籍地記載の住民票
- 法人へ遺贈したい場合は、法人の現在事項全部証明書
財産をもらう人が多ければ多いほど、戸籍謄本の数も多くなります
戸籍謄本は本籍地でしか取得できないので、本籍地が県外だったり離島だったりすると、郵送で請求することになります
しかし、郵送請求の場合、小為替でしか手数料が支払えないため、小為替を郵便局へ買いに行ったり、返信用封筒をつけたりなど、結構手間がかかるんですよね
このような事務作業に慣れている人や、時間がたっぷりある人なら良いけど、時間や手間を考えると、行政書士などの専門家にサポートをお願いしたほうがいいのではないかと思っています
遺言の内容の自由度が劣る
自筆証書遺言は何を書いても自由ですし、何枚書いてもお金がかかりません
でも、公正証書で遺言を作る際、証書が4枚以上になると5枚目から250円ずつ加算されていくんです
家族への感謝も思い出も、つらつらと書きたいところでしょうが、あまりに長くなると、正本や謄本を請求する相続人の費用負担が増えてきます
正本や謄本を請求するとき、1冊ではなく証書の枚数でお金がかかるので、4ページの証書なら250円✕4枚=1,000円も請求されちゃうんですよ
公証役場とのやりとりが面倒
これが公証役場に直接依頼せず、行政書士や弁護士に依頼してくる最大の理由です
あなたの思いはあなたにしかわかりません
ですから、遺言の原案の作成は基本的に本人が行いますが
はてな
生命保険はどうしたらいいのか
不動産はやっぱり長男が継ぐのが良いのか
絶対に財産を渡したくない相続人がいる場合どうしたらいいのか
遺言者にはそんな悩みもあるはずです
公証役場では、公証人と原案を作成しながら、いろいろと相談にものってもらえます
ただ、特に高齢者の場合、公証人の前で緊張して、あまり自分の思いを言えなかったという方もいます
ですから、公証人と遺言者の間に橋渡しを果たしてくれる人がいれば一番良いかなと思います
その役割が、相続人の息子や娘さんだったり、そして、行政書士です
公証人の前では緊張するけど、相手が女性の行政書士なら話しやすいし、自分の考えを言いやすいという方もおられます
また、原案から遺言が完成するまでには、公証役場と何度もやり取りしなければなりませんので、忙しい方にはぜひ行政書士の遺言作成サービスを利用してほしいと思います
公正証書遺言がおすすめなのはこんな人
まとめると、公正証書遺言がおすすめなのはこんな人です!
- とりあえず難しい事はわからないからプロに任せたい!
- お金はある!でも時間がない・・・
- 法律的なことが苦手・・・調べるのも苦手
- 今のところ、書いた遺言を書き直す予定はない!
公正証書遺言は公証人が作成に携わるので信頼できるし、一度作成したら、保管料もいらず改ざんや紛失も心配ないという安心感があります。
公正証書遺言、ぜひ検討してみてください!