遺言

【相続】行政書士の「相続人調査」とは?費用は?居所が不明な相続人を探す方法

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
こんにちは、補助者のぶうたろうです。

 

この前、「相続人調査」について相談があったんだ。

 

相談者さんは80才くらいの男性。先祖代々の土地(軍用地)を持っていて、相談者さんが亡くなったあとは、長男に継いでほしいんだって。

 

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
ぼくが住んでいる沖縄では、長男が土地を継ぐという慣習がまだまだ残ってるよ。

 

最近では、性別に関係なく財産を相続させるケースも増えてきましたが、

 

沖縄では、不動産は父系男子が継ぐという慣習が根深くあり、

 

特に高齢者にそのように考える方が多いようです。

 

しかし、相談者の長男は、かれこれもう40年以上も行方不明らしく、

 

住んでいるところはもちろん、生きているのかさえもわからないといいます。

 

そこで当事務所に「相続人調査」をしてもらい、行方不明の長男を探し出してほしいとのことです。

 

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
でもぼくは困ったよ。

 

おそらく、相談者さんがやってもらいたいことは「人探し」なんだ。

 

行政書士が業務とする「相続人調査」相続人の居所を探すということはちょっと違うんだよね。

 

今回は、行政書士による「相続人調査」の意味についてお伝えしたいと思います。

 

相続における相続人調査とは

相続人が誰かを確定すること

遺言書がない場合、亡くなった方の財産は、基本的に法定相続人に相続されることになります。

 

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
だから、誰が法定相続人なのかを確認する必要があるよ。

 

法定相続人を確定するために、まずは故人の出生から死亡まで戸籍謄本や原戸籍を取り寄せて、

 

故人の親、故人の結婚相手、子供がいるのか、いれば何人いるのかなどを調べていきます。

 

これが法定相続人を調べる方法で、いわゆる「相続人調査」です。

 

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
「そんなの家族に聞けばわかるじゃないか」と思うかもしれないけど、人生いろいろ。家族も知らない結構波乱万丈な人生を送っている人もいるんだ。

 

お父さんに婚姻歴があった

例えばあなたのお父さんが亡くなり、お父さんはお母さんとの間にあなたを含め3人の子どもがいたとします。

 

でも、子どもは本当に3人だけですか?

 

お父さんは言わなかったかもしれませんが、実はあなたのお父さんはお母さんと結婚する前に、他の女性と結婚していた過去があるかもしれません。

 

過去に結婚してた女性との間にも子どもがいるかもしれません。そうすると、その子も相続人となります。

 

お母さんが未婚で子供を産んだ過去があった

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
また、戦前生まれの人にこんなケースもあったよ

 

ある女性は、若くして未婚で子どもを産みました。

 

女性の両親は娘の将来を考えて、その子どもを自分たちの養子として役所に届けました。

 

でも、戸籍の母親の欄にはその女性の名前(産みの母)が書かれています。

 

その後、女性は新たな男性と出会い結婚し、その男性との間に子どもをもうけました。

 

その子らは、母親が過去に未婚で子どもを産んだことを知りません。

 

時が過ぎ、女性が亡くなりました。

 

子どもたちは、母親の死亡から出生まで遡り戸籍を取り寄せました。

 

すると、母親の両親(祖父母)に養子がいることが分かりました。その養子の「母の名前の欄」には、自分たちの母親の名前が記載されていました。

 

そこで初めて、自分たちに父違いの兄弟がいることが分かりました。

 

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
もちろんその父違いの子も女性の相続人となるよ

 

このように、身内で知っている情報だけで判断するのではなく、

 

故人の死亡から出生までの戸籍、さらにはその親の代までの戸籍を調査し、

 

把握していない相続人がいないかどうか調査すること、

 

それが行政書士が行う「相続人調査」なのです。

 

なぜ相続人調査が必要なのか

相続人調査を行わず、兄弟姉妹で勝手に話し合い、その結果、故人の財産は長男がもらうことになりました。

 

そして、遺産分割協議書を作成しました。

 

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
でも戸籍を辿って、遺産分割協議にもれた相続人がいれば、その遺産分割協議書は無効になるかもしれないよ。

 

遺産分割協議には時効がありません。

 

もし裁判となり遺産分割協議が無効との判決が出されれば、

 

たとえ30年前の遺産分割協議だとしても、最初からやり直さないといけない可能性だってあるのです。

 

また、遺言書で特定の相続人に財産を譲る記載があったとしても、

 

相続人には法律上保証された「遺留分」があります。

 

もし遺留分を主張されれば、財産の分配が複雑となります。

 

だからまず相続人調査を行い、相続人を全員確定した上で、相続財産の分配を考えることが大切なのです。

 

行政書士の相続人調査の方法

相続人調査の手順

法定相続人を確定するためには、まず故人の死亡から出生までの戸籍を取り寄せ家系図を作りましょう。

 

戸籍は本籍地のある市町村役場に請求します。

 

ただ、本籍地は一か所でないことが多く、特に女性は結婚を期に本籍地を変えている人も多くいます。

 

男女問わず、複数回結婚をしているとか、引っ越しが多い場合、何度も本籍地が変わっていることもあります。

 

本籍地が変わっている場合、戸籍謄本に「従前戸籍」という欄があります。

 

その従前戸籍地に対しても、戸籍謄本を取り寄せます。

 

取り寄せた従前戸籍地にさらに「従前戸籍」の記載があれば、またその従前戸籍地に戸籍謄本を請求する。

 

出生時の本籍地にたどり着くまでこれを繰り返します。

 

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
この作業、面倒だね・・・だから、相続人調査は行政書士に依頼したほうがよさそうだね。

 

行方不明者の住所を辿るには戸籍の附票

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
ところで、最初の相談者の長男の話だけど・・・

 

行政書士
行政書士
長男さんの戸籍の附票を取れば、住民票の住所を調べることができるけど・・・

 

行政書士
行政書士
ただ漫然と「長男の居所を探したいから」という理由では、行政書士が職権で長男さんの住民票や戸籍の附票を取得することはできないんです・・・

 

戸籍の附票とは、本籍地の市区町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、

 

住民票の異動の履歴が記録されているので、今回の相談者の長男さんの場合も、

 

これまでの引っ越し先の住所の履歴を調べることができるかもしれません。

 

しかし、本人は理由があって身を隠しているかもしれないし、

 

もともと家族とトラブルがあって距離を置いているのかもしれません。

 

行政書士は、当事者間のトラブルに介入できないので、例え行方不明の親族の居所が判明したとしても、

 

話し合いに応じてもらえない場合などがあれば、行政書士では対応できません。

 

行政書士に依頼できるのは、トラブルがない場合のみ

沖縄県民は地元愛が強く、一度は県外に就職したとしても、

 

ゆくゆくは沖縄に戻ろうと思っている人も多くいます。

 

しかし、行方も知れず、本籍地も生まれ故郷から異動しているなどの場合、

「親族との縁を切ろうとしている」

「もう二度と沖縄に戻るつもりがない」

という意図を読み取れなくもありません。

 

先ほども言いましたが、行政書士はトラブルには介入できないため、

 

例え長男さんの居所がわかったとしても、話し合いに応じてもらえない場合もあります。

 

行政書士
行政書士
このようなケースの場合、行政書士として、次のアドバイスを行いました。

 

今回の相談者の場合 

行政書士
行政書士
相談者さんが長男さんに土地を継いでほしいという想いを伝えるため、遺言書を作成してはいかがでしょうか。

 

ということで、相談者に以下を提案してみたよ。

 

  • とりあえず遺言書に「長男に財産を相続させる」旨を記載し、相談者が亡くなったあとに、不在者財産管理人の申立を裁判所に行う。
  • 遺言書には長男の名前は記載せず、長男以外の兄妹の名前を記載する。ただし、長男が出現した場合は長男に財産を渡すという条件付きの遺言書にする。
  • 長男の名前は一切遺言書に記載せず、他の兄妹で財産を分配する遺言書を作る。
  • 遺言書を作らず、被相続人が亡くなった後は、長男の不在者財産管理人の申立を行い、遺産分割協議を行う。

 

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
2番目の提案が、一番、現実的な方法かなぁ・・・

 

相続人調査の費用

ちなみに、行政書士が行う「相続人調査」の費用ですが、

 

調査人数にもよりますが、平均すると3万円~5万円くらいが相場です

 

また、遺言書の作成については、公証役場で作成する遺言公正証書は、10万円くらいが相場です。

 

当事務所では、遺言書の作成に相続人調査が含まれますので、遺言書の作成は基本料金10万円。

 

ただし、相続人の人数によって加算させていただくことがあります。

 

補助者ぶう太郎
補助者ぶう太郎
今回はちょっと特殊な相談だったけど、もし行方不明の相続人がいる場合、遺産分割協議ができなかったり、相続財産を銀行から預金が下ろせなかったり、不動産の移転登記ができなかったりするよ。

 

行政書士
行政書士
遺された人たちが、スムーズに相続の手続きができるよに、遺言書を作成してたほうがいいですね。

 

 

-遺言
-,