遺言

【裁判】遺言がなかったために30年後に兄弟で裁判になった話

仲がいいから遺言がなくても大丈夫?

これは、遺言がなかったために遺産分割協議をした結果、30年後、兄弟間で裁判になった実際のお話です。

遺言がなかったために実際に起こった裁判の話

今から30年以上前のこと・・・

沖縄の「トートーメー」問題

この裁判のポイントは「本当に長男が本家を継いだ事実があるのか」でした。

そもそもなぜ、遺産分割協議書から「長男が本家を相続する」という記載だけが漏れてしまったのでしょうか。

おそらく、特別な意図はなく

沖縄では長男がトートーメーを継ぐという風習がありますので

「長男がトートーメがある本家を相続する」のが当たり前すぎて、記載することをただただ忘れてしまっただけなのかもしれません。

そして、この記載漏れについて

「この本家は、長男だけのものじゃない。みんなの共有だ」という主張をする相続人は、この30年間誰一人いませんでした。

しかし、単なる「兄弟けんか」が発端で、

次男が「長男は本家を継いでいない」と主張し裁判まで発展してしまいました。

そして裁判の行方は?

この裁判の結果はどうなったのでしょう。

長男には、長男が固定資産税の納税義務者となっている「家屋証明書」があり

実際、本家の固定資産税も支払い続けていました。

そして、「長男が本家を継いだ」という内容の次男の手紙や

すでに建物の表題登記が長男名義になっていたことなどを考えると

もし、裁判で徹底的に争えば「本家は長男が継いだと認められる」という判決になったかもしれません。

しかし長男は

「親族同士で骨肉の争いはしたくない。だから本家はみんなのものでいい」という答弁書を提出し審理を終結させました。

つまり、

長男は次男の主張を全面的に受け入れ、次男の勝訴という形で裁判を終わらせたのです。

でもその一方で長男は

「本家も継がないからトートーメーも継がない」

「今まで払ってきた本家の固定資産税も、今後は一切支払わない」

「これまで、シーミーもお盆もお正月など親族が集まるたびごちそうを用意してきたが、祭事も一切しない」

と言い残し、長男は二度と本家に出入りすることもなく、親族とも縁を切りました。

この裁判では、本家は相続人らの「共有」という結果になり、次男の勝訴となりました。

さて、ではトートーメーは次男が継ぐことになるのか?

実は、次男には子供がいません。

裁判によって、1/6ずつと細分化されてしまった本家の持分が

姪や甥の代になると1/18や1/36などとなり、複雑化していきます。

また、長男以外の「だれがトートーメーを継ぐのか」という問題も残ってしまいました。

「長男に本家を押し付けておけばよかったのに・・・」

今ごろ、長男以外のお嫁さんたちはこのよう戦々恐々としているかもしれません。

特定の人物に財産を遺したい場合は遺言は必須

他の兄弟姉妹から信頼を得られていなかった長男は自業自得ではありますが、

大正生まれで家父長制で育っていた「じいちゃん」は、

こんな長男でもトートーメーを継いでほしかったでしょうし

長男の長男(じいちゃんの孫)をとてもかわいがっており、

長男家が代々、本家とトートーメーを守っていくことを望んでいたと言います。

じいちゃんが遺言で、本家は長男に継がせるという指定をしてくれていれば、

裁判になることもなかったはずです。

遺言の重要性に気づかされた出来事でした。

遺言を作成しておいたほうがいいケース

上記のように財産がある以外の場合でも

次のようなケースは、遺言を作成しておくことを強くおすすめします。

ケース① 夫婦間に子供がいない

夫婦間に子供がいない場合、亡くなった被相続人の父母が生きれいれば相続人となります。

もし遺言がなければ、義父母と遺産分割協議を行わなければいけません。

しかし、義父母との関係が悪い、交流がないなどの場合、遺産分割協議がスムーズにいかないこともあります。

また、義父母が他界していても、今度は兄弟姉妹にも相続権が発生してしまいます。

遺言さえあれば、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、妻または夫に、全財産を残すことができます。

ケース② 相続人以外に財産を託したい

そもそも、相続人以外に財産を残したい場合は、遺言がなければ財産を託すことはできません。

例えば、婚姻関係にないパートナーや、同性婚のカップル、全く血のつながりはないがお世話になった第三者、

その他、寄付したい団体などがある場合は、事前に遺言を作成しておかなければ、財産を託すことはできません。

ケース③ 先妻との間に子供がいる

先妻の子は相続人となります。

後妻や後妻との間に子がいる場合、先妻の子との間で相続関係が複雑化してきます。

先妻の子と後妻の子同士、交流があっても仲が良くても、いざ相続となると感情的になり揉めることも予想されます。

財産の分配について不要なトラブルを回避するために、遺言を作成しておいたほうがいいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、遺言がなかったがために実際に裁判になった例をご紹介しました。

今は兄弟姉妹の仲が良くても、将来はどうなるかわかりません。

兄弟姉妹が仲が良くても、結婚すると「婿」や「嫁」などの登場人物が現れ、兄弟姉妹の仲にも変化が現れます。

子どもができれば、子どもにも養育費がかかり、家を建てればローンも背負うはず。

将来、相続人らの環境は目まぐるしく変わっていきます。

だからこそあなたの築いた財産が、予期せぬ人に渡ったりしないよう、遺言の作成をおすすめします。

当事務所では女性行政書士が対応します。特に女性のお客様から

・女性なので相談しやすかった

・私も子供がいないので同じ境遇の人に相談できてよかった

などのご感想を頂いております。

遺言でお悩みの方は、さくら行政書士事務所にご相談ください。

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