こんにちは 浦添市に事務所を構える行政書士の大湾です。
浦添市には屋富祖の「キャンプキンザー」や「牧港補給基地」のアメリカ軍用施設がありますね。
聞くところによると、近々トリイステーションに移転されるとか?(いつになるかはわかりませんが・・・)
確かに、先日トリイステーションに入ってみたところ、畑が潰されて大規模な工事が始まっていました。
ただ、キャンプキンザーなどの軍用地が返還されても、
すぐに軍用地料が入ってこなくなるわけではないですよね。
返還後も跡地利用などで大型スーパーが進出してきたりと、
大変価値の高い土地であることには違いありません。
そこで今回は、浦添市に軍用地をお持ちの地主さんが遺言を作成する重要性と遺留分の問題について解説したいと思います。
軍用地等とは
一般社団法人沖縄県軍用地地主会(以下、土地連)によると、「軍用地等」とは「駐留軍用地をはじめ、自衛隊施設用地、県企業局施設用地」のこととされています。
沖縄の軍用地は他府県と比べた場合、以下の特徴があります。
- 強制収用されて確保されたこと
- 民公有地が大半を占めていること
- 長期にわたって使用されていること
家父長制度が色濃く残る1980年代ごろまでは、
軍用地はトートーメーを継ぐ長男が相続するとか、男系男子だけが軍用地を相続するなどという風習がまだ色濃く残っていました。
しかし、時代が変わり男も女も分け隔てなく遺産がもらえるようになったことで、
軍用地は分筆され細分化され、親から子らへ、またさらにはその孫らへ受け継がれています。
その分軍用地の所有者(軍用地地主)の数も増えており、相続問題も多く発生しています。
では、なぜ軍用地に相続問題が多く発生し、その対策として遺言を作成することが重要なのでしょうか。
軍用地の特性と遺言作成
軍用地の場合、なぜ相続争いに発展しやすいのかというと、
財産的価値が非常に高いことがあげられます。
一般の不動産と比べて、自分の土地なのに自由に使うことも、自由に立ち入ることもできない軍用地ですが、
1年に1回安定した地代が入る上、その地代は毎年上がってます。
そのため、投機目的で県内外で頻繁に取引されており、
沖縄県内のあちこちに「軍用地求む」の看板を見かけたことが皆さんもあることでしょう。
また、軍用地地主たちは先祖代々からの軍用地をなかなか手放さないため、軍用地は売り手市場。
例えば900平方メートルほどの土地で、年間地代は90万円にも満たないにもかかわらず、
不動産会社のHPを見てみると、54倍の金額(4600万円以上)で高額取引されています。
また、「軍用地ローン」などを謳い銀行などの金融機関が
、軍用地地主に対しては積極的にお金を貸すため、軍用地はお守りみたいなもの。
軍用地から発生する地代は面積の割には微々たるものですが、
その財産的価値を知っている人からすると、喉から手が出るほどほしいのです。
ですから、軍用地をめぐって親族間で争いが起こりやすく、
揉めないために遺言を作成し、軍用地をだれにどのように分配するか対策していく必要があります。
遺言作成の手順とポイント
遺言を作成する際には、まず相続人の選定についても慎重に考える必要があります。
沖縄には先祖代々の位牌「トートーメー」を誰が継ぐかという問題があります。
もし長男がトートーメーを継ぐなら、その責任と義務とともに、長男に軍用地を相続させるということが一般的かと思います。
だからと言って、全部長男に相続させるという遺言を書くのはちょっと待った!!
他の相続人には「遺留分」というものがあります。
遺留分とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことです。
実は相続人の権利はとても強く、例えば「相続人が被相続人の生命を侵害するような行為をした」などの相続欠格、
「親を虐待・侮辱した」などの相続排除がない限り、法律上最低限の相続分が認められています。
ですから、すべての財産を特定の相続人にすべて相続させるというような内容の遺言は、かえって遺留分の問題を引き起こします。
法的アドバイスの重要性
軍用地での遺言作成に関する法的アドバイスは欠かせません。
専門家の助言を得ることで、遺言が適切に作成され、争いや問題が発生する可能性を減らすことができます。
そこで行政書士など相続の専門家に相談することをお勧めします。
実際、ある軍用地所有者が遺言を作成した際には、相続人の権利を考慮し、
行政書士の助言を得てスムーズに手続きが進めらたことで、問題やトラブルが回避された事例もあります。
軍用地地主が遺言を作成することは、土地の利用や相続に関する問題を予防するために重要です。
適切な手続きや専門家のアドバイスを受けることで、安心して遺言を作成し、大切な土地を守っていきましょう。
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